秋も深まる十一月

そろそろ山の上の紅葉が目に付くいい季節ってやつだよね

だったら一寸足を伸ばして京都なんかいいんじゃない?!

そうだ京都にいこうって思い立ったが吉日娘



「だからって、何も始発の新幹線は早すぎじゃない?」

「ううん。だってコレでも向こうに着くのは9時過ぎなんだから」



何もそんなに早くつかなくても午後着でゆっくりすればいいのにね

電車ってなんか乗り過ごさないか緊張して

眠くても寝れないから早く行くのは苦手なんだよ


眠気眼を手でこすり、新幹線はどんどんと西へ西へと向かうのでした


ピンキーストーリー

〜おでかけおでかけ〜

2008京都/奈良編・前編・

pinky:stってなんじゃ食い物か?って人は

一日目二日目


「到着〜…って、なんか凄く天気悪くない?」



「う〜ん…天気予報だと雨だか曇りだかって感じだったんだけど!?」


朝一でついたはいいけれど、どうも今日は天気は崩れ模様

行った先で土砂降りなんて目も当てられないよね


「あっ」

「ナニ?!忘れ物?!」

「いや、京都駅って日本で一番長いホームがあるんだけど、

毎回行ってみようって思ってて忘れるんだよね」


そんなこと言われると一寸気になるけど

まあそういうのは帰りとか時間があるときに見に行けばいいんだよ

そんなわけで一寸小ぶりの天気の中、バスで一路大原へ


でも、下車したのは一寸手前の梅の宮



「何で梅の宮?三千院なら大原まで行かないと」

「あっちはどうせ混んでるし、どうせなら人気の無い所をのんびりと行きたいじゃない?」



まあ、雨も心配したほどじゃないみたいだし

ほんのり色つきかけた木々を眺めながらの散策も悪くないかも?!


静かな道沿いに緩やかな登り道

サクサクとすすんでいくと、正面に目的地

大原三千院門跡に到着です



「知ってる!!あれ、今年のJRのCMに出てきた建物だよ!!」



「往生極楽院だって、何で中の仏様は正座してるんだろう!?」


正座じゃなくて大和座りっていうんですよ

そういえば喜多方の願成寺にある会津大仏の脇侍もこんな座り方ですね

一時代の流行だったのかな?!

でも、苔の中に遊ぶわらべ地蔵にはそんなことどうでもいいみたい!?



「こんなところにも仏様があるよ。昔の人は信心深いんだね」



「こんな端っこにおいてないでちゃんとお堂を作ればいいのに」


極楽院に比べれば小さな覆い屋だけど

だからといって粗末に扱われているわけじゃないんだよ



でも広い境内をぐるっと回って戻ってみると

やっぱり極楽院の周りが一番雰囲気が良くて

もうちょっともうちょっととついつい長尻になってしまうのです


でもいつまでもここにいるって訳には行かないから

宝泉院にやってきました


「ほらっホラ天井に血のしみ!!天井にまで血が飛ぶなんてどんな刃傷沙汰だったんだろう」

「あーっホラ凄い松があるよすごい松がっ」



血糊が苦手でも桃山の血天井は赤黒いしみがあるだけなので

言われなければあまり気にならないので大丈夫多分!!

ちなみに現場の廊下の板を天井に張って供養してるんだとか!?

血糊でひとしきり騒いだら五葉松や庭園でほっと一息



「ーで、さっきの血糊さぁ」


もう勘弁してー


逃げるようにパタパタと勝林院

コケの絨毯と周りの木々がしっとりとしていい雰囲気だよね

廂とかの彫り物も素敵でさっきまで物騒なことで騒いでいたのもつい忘れてしまいそう



そしてようやく落ち着いた心持で実行院にやってくると…


「あれ?…桜?!」



「こんな季節なのに桜なんて、一足先に花見とか出来そうだよね」



この桜は春の終わりまで絶えることなく咲き続けるんだって

紅葉に桜なんて思わぬラッキーっとかいいあいへしあい

三千院門席の前を通り抜けて山のほうへと登ることしばし

木々に囲まれた中にひっそりと立つ来迎院に到着です



ひっそりとした空間に建つお堂がの雰囲気が

また飲み込まれそうなほどに気持ちがいいんだよ


そして来迎院からさらに山の奥へと道をすすんで行くと

静かな木立の向こうから流れ落ちる水の音

音無しの滝がその向こうから姿を現しました



「音無しの滝って言うけど音がしないわけじゃないんだね」

「もっと静かな感じなのを想像してたのにね」


静かなって、別にいまだってそんなに騒々しいようなものでもないんですよ?!


さて、滝から戻ってお土産屋の並ぶ下り坂を大原のバス停目指してすすみます



「どうするの?もう市内の戻るの?」

「ううん寂光院。国道挟んだ反対側に寂光院があるからいってみようかなって」



気付くと雨もすっかり上がってか上がらないかの微妙な天気

山間の農村をウロウロとすすんでいくとその奥の奥に寂光院



「ココの建物はなんだか新しいんだね」



寂光院の本堂は平成15年に再建されたばかり

火事にあったときの資料は敷地内の資料館にあるんだよ

どんな素敵な建物も火には勝てないんだ。諸行無常だね


さてさて、思ったよりもまだ時間が余ったので

ついでだからもうちょっと足を伸ばそうってことで

大原からバスで阿弥陀寺に寄り道することに



「なんだかさっきよりも暗くなってきたね」

「山に囲まれてるから暗くなるのが早いんだよ。早く行こうよ」


空は明るいのに一歩門を超えると木々に囲まれた山間の斜面は

薄暗くてなんだか一寸心細くなってきちゃう


でも、急な斜面のそのさらに上に目指す阿弥陀寺の石垣が見えてきたら

なんだか一寸一安心

うん。

もう一息だよね。足が言うこと利かないけど



境内に上がると回りに迫るかのような山肌が

ぐっと息を呑むような迫力です



「ここってねミイラ仏で有名なんだよ。ミイラが入った石棺があるんだって」

「…中見れるのかな!?」

「…見たいの?!…」



石棺の中は見れないけど、本堂裏手の山肌にうがかれた洞窟に収められた

石棺になんともいえない気持ちで手を合わせ、再び表に出てくるともう空も茜色


明日は晴れるといいなーなんて思っていたけれど

夜が明けてみたらやっぱり今日も天気悪いんだから参っちゃう



「う〜ん…どうせならドバーって振ってくれないかな

そうしたらもう諦めも作ってものなのにね」

「…でも土砂降りの中回るのは一寸しんどいや」



それに雨の寺社仏閣だって結構気持ちがいいものなんだよ

いつまでも宿でしけこんでるわけにも行かないし、

とりあえず眠気覚ましに近くの平安神宮でも行ってみることにしましょうか



「流石にこの時間は誰もいないね。

通勤途中のサラリーマンとかがショートカットしてるかと思ったのに」

「でも、犬の散歩には丁度好いコースみたいだよ」



応天門を抜けた正面に大極殿

でも、きれいに奈良差あれた正面の空間の

ど真ん中を突っ切るのはやっぱり気が引けるので

端っこのほうからぐるっと回ることにしました



暫く平安神宮をウロウロしたら

地下鉄に乗って二条城へと向かいます

でも駅の近くに神苑っていう庭園があったから一寸寄り道

だって、小雨が降ってるときの庭園の池って一寸シットリして気持ちがいいんだ



そしたらばいよいよ二条城



「やっぱお城だけあってあっちこっちに門があるね

どうせならこっちの裏っかわとかからも入れるようにしてくれたら好いのに」


「こっちはいけそうだけど…」



北大手門は職員や業者用の入り口のようですね

しょうがないので通常通り正面の大手門から二条城二の丸御殿正面にやってきました

やっぱり写真で見るのより大きく見えるね

中に入ると正面からは想像できないぐらい

奥へ奥へと部屋が続いていて…



「なんか同じような広間が奥にいっても奥に行ってもあるから

自分が今どこにいるかよくわかんなくなっちゃうよね」

「二の丸でコレなんだから本丸御殿だとどうなっちゃうんだろう」


本丸御殿も楽しみだったのですが残念こちらは開放していないようです

一寸残念だね



さてさて、二条城を後にしたらさこさこと

京都御苑へと向かいます

京都御苑って行ったら京都御所!!


御苑の入り口から遠くに見える御所の塀が

いつまでいつまで歩いてもたどり着けないと

やっとたどり着いたらついたでずーっと続く長塀に

圧倒されてしまうんだった



圧倒されっぱなしのまんま御所の中をぐる〜り



御所の中は圧倒されっぱなし

ちょっと雰囲気に当てられて首が疲れちゃったね

御所の近くの加茂川で一寸一休み



そして今度は加茂川の近くの下賀茂神社

なんだか立派な楼門だよね



「楼門だけじゃないよ。中だってなんだかいい雰囲気なんだ」



なんといっても本殿は二個あるし、拝殿の前には摂社が一杯建っているんだ

こんなに一箇所に集まってたっていられると

どこからおまいりしていいのか少し困っちゃうよね


そういえば加茂川の上流にもう一個似た名前の神社がなかったっけ??


「そうそう、このまま川沿いにすすんでいけば上賀茂神社なんだよね

当然近いし、散歩ついでに歩いていこうよ」



「行くのはいいけど一寸冷えてきたかな…?!

マフラーもってくりゃ良かったよ」


そういえばもう夕方近く

雨は上がったとはいえ冷えて来るのも当たり前

拝観時間は区切られていなかったと思ったけれど

暗くなる前に回っちゃったほうがよさそうだね



「大丈夫。日が暮れるまではまだ時間があるよ。あっちにもいってみようよ」



なんだかんだでこういう時って

不思議と変な余裕が出来ちゃうんだよね



余裕があるから夜間拝観も回るんだ


後編へ





戻る なんかありましたら以下まで… misuzugxあっと gmail.com ("あっと"を"@"に書き換えて使ってください)